ステロイド薬には、炎症や免疫機能を抑える作用があります。
そのため重症度の高いアトピー性皮膚炎やぜんそくなどのアレルギー疾患、膠原病・ネフローゼ・関節リウマチなどの自己免疫系疾患の治療薬として使われています。
また、めまいや耳鳴りの治療に使われることもあります。

ステロイドとは本来、副腎という左右の腎臓の上にある器官から生産・分泌されるホルモンです。
その代表的なホルモンはコルチゾルで、糖や脂肪の代謝に関わったり、体液を維持したり、免疫機能の調整をするなど、身体にとって重要な役割を持っています。

治療の際は作用を強めた合成のステロイド薬が使われるので、炎症を抑えるという良い効果だけでなく、免疫抑制作用によって病原体に対する抵抗力を低下させてしまいます。
ステロイド薬の副作用のひとつとして、感染症にかかりやすくなるといわれるのはこのためです。

ステロイド薬によって抵抗力が落ちていると、日和見感染にかかりやすくなります。
健康な体であれば全く害がない細菌、真菌(カビ)、ウィルス、原虫などの病原体が原因で発症してしまう感染症です。

典型的な日和見感染のひとつに、ニューモシスチス肺炎があります。
ニューモシスチス・イロヴェチという真菌(カビ)は、ほとんどの人の肺に棲みついているといわれていて、健康な人であれば発症することはほとんどありません。
ところが、抵抗力が低下しているとこの菌の増殖が抑えられなくなってしまうため、発症してしまいます。
ニューモシスチス肺炎は、重症化すると呼吸困難を起こしたり、最悪の場合は死に至ることもあります。
万が一発症してしまったら早期の適切な治療が必要ですが、その前に感染しないように注意することが大切です。

ステロイド薬を使用しているときは、できるだけ人混みの多い場所に出かけない、外出する際はマスクをして感染を予防するといったことが大切です。
特にインフルエンザなどの感染症が流行しているときは、ちょっとした外出でも必ずマスクを使用しましょう。

ステロイド薬の使用には医師の指導の下行うこと

ステロイド薬として広く知られているのは、プレドニンという製品名で呼ばれるプレドニゾロンです。
検証結果では、1日10g程度なら感染症のリスクはあまり高くありませんが、1日20mg以上のプレドニゾロンを2週間以上投与されると感染症のリスクが2~3倍に上がり、1日40mg以上だとさらにリスクが高くなるといわれています。

重症度の高い膠原病の治療などでは、免疫機能を低下させて炎症を抑えるために、初期に1日40mg以上のプレドニンを投与されることがよくあります。
その場合、感染症を予防するために医療機関に入院することがほとんどです。
ただし、病院の中でも他の病棟に行ったり見舞客に会う際は、マスクを使用するほうが良いでしょう。

ステロイド薬は効果が高い治療薬ではありますが、免疫抑制作用による日和見感染のほかにも、さまざまな副作用があります。
比較的軽い副作用としては、食欲増進または食欲不振、不眠、吐き気、体毛の増加、顔や肩などの脂肪沈着などです。
イライラや倦怠感などの精神疾患症状が現れることもあります。
ただし、これらの症状はステロイド薬の減量あるいは終了によって解消されることが多いです。

その一方で、血糖値やコレステロール値・血圧の上昇、低カリウム血症、骨粗しょう症、緑内障、白内障、副腎不全、大腿骨壊死などの重い副作用が現れることもあります。
これらの場合、症状によってはもともとの病気とは別に治療が必要になってきます。

ステロイド薬は合成ホルモンなので、一定量以上を長期使用していると、自分の副腎がホルモンを作らなくなってしまいます。
急にステロイド薬をやめてしまうと、急性副腎不全を引き起こしてしまう可能性もあります。

感染症やその他の副作用を避けるために、自己判断でステロイド薬を減らすのは大変危険です。
ステロイド薬の服用中は、人混みを避けたりマスクを使用することを心がけて、医療機関で医師の指示に従って減量していくことが大切です。